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不偏検定

パラメタ空間の正の体積を持つ領域$ {\cal R}$ は滑らかな境界 $ \partial{\cal R}$ を持つと 仮定し,興味のある仮説を「 $ \eta\in{\cal R}$ 」とする.仮説の領域を$ \mu$ で表現 したときのサイズを$ O(1)$ とするので,$ \eta$ で表現すると $ O(n^{1/2})$ で大き くなる.

例 (球体). $ {\cal R}=\{\eta : \Vert\eta\Vert\le n^{1/2} \}$ ,球面 $ \partial{\cal R}
= \{\eta : \Vert\eta\Vert = n^{1/2} \}$

スケール$ \tau$ のブートストラップ確率は

$\displaystyle \tilde\alpha_1(y,\tau) = \Pr\{Y^* \in {\cal R};y,\tau \}
$

である.通常は$ \tau=1$ なので,これを特に $ \hat\alpha_0(y)=\tilde
\alpha_1(y,1)$ と書く.$ y$$ {\cal R}$ から遠く離れるほど $ \hat\alpha_0(y)$ が0に 近づき,仮説が正しくないことを示唆する.あらかじめ決めた有意水準 $ 0<\alpha<1$ に対して $ \hat\alpha_0(y)<\alpha$ ならば,仮説を棄却する.

仮説を検定するための一般の確率値を $ \hat\alpha(y)$ と書く.棄却確率は $ \beta(\alpha,\eta)=\Pr\{\hat\alpha(Y)<\alpha; \eta\}$ である.仮説 検定では任意の $ \eta\in{\cal R}$ に対して $ \beta(\alpha,\eta)\le\alpha$ を要求す る.さらに任意の $ \eta\not\in{\cal R}$ に対して $ \beta(\alpha,\eta)\ge\alpha$ な らば,この検定は不偏であるという. $ \beta(\alpha,\eta)$$ \eta$ に関して 連続であるから,不偏ならば

$\displaystyle \beta(\alpha,\eta)=\alpha,\quad \eta\in\partial{\cal R}
$

である.この等式が厳密には成り立たない場合,その誤差がバイアスであり,こ れを小さくする確率値の計算法を与えたい.バイアスが $ O(n^{-k/2})$ であれば, $ k$ 次の精度の近似的に不偏な検定であり,$ k$ が大きいほど望ましいと考える. $ \hat\alpha(y)$ として $ \hat\alpha_0(y)$ を用いると$ k=1$ であるが,以下に述 べる方法では$ k=3$ になり,より精度の高い方法といえる.




平成16年7月12日