next up previous
Next: 不偏検定 Up: ブートストラップ法の幾何学とスケール変換 Previous: ブートストラップ法

確率モデル

データに何らかの変換を適用したものを$ p$ 次元ベクトル$ y$ として表現する. $ y$ は確率変数$ Y$ の実現値であり,$ Y$ の期待値を$ \eta$ と書く. $ Y\sim
f(y;\eta)$$ \eta$ を未知パラメタとする指数型分布族であり,特に, $ y
=\sqrt{n}\bar x$ $ \eta=\sqrt{n}\mu$ の形に書けると仮定する. $ n\to\infty$ とする漸近的な議論に関して,ここでは$ \eta=O(1)$ とするので, $ \mu=O(n^{-1/2})$ のいわゆるlocal alternativesに相当する.

ブートストラップ法は $ Y^* \sim f(y^*;y)$ によって$ Y^*$ の実現値$ y^*$ を多数 生成することに相当する.もし複製データの要素を$ n'$ 個に変更すると, $ \bar
x^*=(x^*_1 + \cdots + x^*_{n'})/n'$ のバラツキのスケールは$ \tau$ 倍される. したがって,$ f(y;\eta)$ のポテンシャル関数 $ \phi(\eta)$ $ \phi(\eta,\tau)
= \phi(\eta)/\tau^2$ で置き換えて密度関数 $ f(y;\eta,\tau)$ を定義すると, $ Y^*\sim f(y^*;y,\tau)$ となる.

例 (正規モデル). $ Y$$ p$ 次元正規分布に従うとき, $ f(y;\eta,\tau)$ $ N_p(\eta,\tau^2 I_p)$ ,ポテンシャル関数は $ \phi(\eta,\tau)=\Vert\eta\Vert^2/(2\tau^2)$ である.




平成16年7月12日