データ の各要素は独立同分布に従う確率変数の実現値とする. その期待値 の推定値は平均 によって与えられ る. のバラツキを調べるために,データと同じ確率分布に従う確率変数 の実現値を擬似乱数を使って生成したものを,複製データ とする.ただし は未知なので, の役割を で置き換えて生成す る.この手続きを多数回繰り返し実行して, のバラツキを観測することにより, のバラツキが推測できる.
ここではデータの確率モデルを仮定してそれを利用しているので,この手法は パラメトリック・ブートストラップ法と呼ばれる.一方,通常のブートストラッ プ法はモデルを仮定せずに, からランダムに重複を許して 個の要素を取り出して を生成する.以降の議論はすべてパ ラメトリック・ブートストラップ法を用いるが,これは現実のデータ解析に通常 のブートストラップ法を適用する一連の手続きを,簡略にモデル化していると考 える.