ここでは Tree of Life Web Project (http://tolweb.org) を利用して,進化系統樹のイメージをつかむ.なお,以下の説明は2002年9月に作成したもので,現在ではウェブの構成が若干異なっている.
地球上のあらゆる生物は,ひとつ(もしくは小数の)の共通祖先から種分化と進化によって得られたと考えられている.生物が祖先からその子孫へ枝分かれしながら進化して行く様子を木にたとえたものが進化系統樹である.共通祖先は根に対応し,現存生物は葉に対応する.途中で絶滅してしまった生物は,そこで枝が途切れている.Tree of Life Web Projectは,これらあらゆる生物の系統樹をWeb上でアクセス可能にする企画である.化石による証拠は限定的なものでしかないので,現代ではDNAを比較することによって系統樹を推定する手法が一般的である.しかしまだまだ系統樹の枝分かれがはっきりと推定できていない部分も多く,このTree of Lifeも常に「工事中」である.
では Tree of Life Web Project (http://tolweb.org) をアクセスしてみよう.次のようなページがみえるだろう.
”Popular Pages" (人気のページ) -> "Mammals" (哺乳類) -> "Eutheria" (真獣類) とリンクをたどると次のページが見える.
Eutheria (Placental Mammals) (http://tolweb.org/tree?group=Eutheria&contgroup=Mammalia)
これは Eutheria という動物群の系統樹を横に寝かせて書いたものである.左側が根で祖先をあらわし,右側に葉で子孫をあらわす.時間は左から右に流れたということである.Eutheriaはplacental mammalsとも呼ばれ,胎盤をもつ哺乳類のことである(UCBのサイトでの解説).われわれになじみの深い動物がいくつも含まれているのが見える.(+)マークのついた群はすでに絶滅したことをあらわす.同じところから枝がいくつも同時に出ているところがあるが,これは進化の順序がまだはっきり分かっていないことを表している.つまり本来は枝は二分岐していくはずなのだが,その正確な順序がまだわからないのである.
ここで,Primates (霊長類) をクリックすると,以下のページになる.
これはPrimatesがさらに4群に分化したことを表している.とくにhumansを含む Catarrhihi -> Hominoidae -> Homo -> Homo sapiens の順にリンクをたどると,ようやくヒトにたどりつく.
ここで一度 Eutheria (Placental Mammals)のページに戻ってみよう.そこから系統樹の根の方向をクリックするとだんだん祖先に戻って行く.しばらく行くと,Amniota (http://tolweb.org/tree?group=Amniota&contgroup=Terrestrial_Vertebrates)という
生物群になる.ここまで来ると,哺乳類のほかにカメやトカゲも含まれる.
これより根のほうに向かうと魚もふくむ Vertebrates (脊椎動物),さらに根に向かうと Eukaryotes (真核生物),その根は全生物の共通祖先となる.