平成18年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞
(受賞者一覧)
下平英寿(しもだいらひでとし)
国立大学法人東京工業大学
大学院情報理工学研究科 助教授
業績名: 情報学分野におけるリサンプリング法の研究
業 績: リサンプリング法は「データからの発見を何パーセント信用できるか?」という疑問に答える汎用アルゴリズムである。データに内在するランダムネスを測定して信頼度を確率で定量化するが,ゲノム情報等の膨大なデータから知識発見を行うとデータに適合する仮説を探索してバイアスを生じ,信頼度を過大評価する問題点があった。
氏はこれを数理統計学の観点で定式化してバイアスをほぼゼロにすることに成功した。データサイズの異なるリサンプリング法を複数回実行し,ランダムネスの変化率からスケール変換公式によって信頼度を計算する原理である。
本研究成果は、分子進化学などバイオインフォマティクスで高い評価を得ている。
主要論文:
「Multiple comparisons of log-likelihoods with applications to phylogenetic inference」Molecular Biology and Evolution,p1114-1116,1999年8月発表
「Approximately unbiased tests of regions using multistep-multiscale bootstrap resampling」Annals of Statistics,p2616-2641,2004年12月発表